2007年12月9日日曜日

Water


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先週の日曜に21_21DESIGN SIGHTで開催中の「Water」展に行ってきました。
佐藤卓さんディレクションの水をテーマにした展覧会。
いろいろな方面の方々の作品があるので、芸術的なものから科学、環境問題まで幅広い内容になっています。

私のお気に入りはナント言っても原研哉さんの超撥水素材を使った作品、以前「蹲踞(つくばい)」という作品を見て感動したのですが、今回の作品「鹿威し(シシオドシ)」も素敵です。
ガラスのシシオドシから流れる水滴が白いボードに施された突起にぶつかり、離れたりくっついたりしながら流れ落ちるという作品です。
水滴の流れる様子がまるで生き物のようで、いくら見てても飽きないです。
大きな水滴は沢山ある突起もものともせず、どどどどって感じで流れ落ちるのですが、その様がまるでもののけ姫のたたり神のようです。
逆に小さい水滴は障害物にぶつかりながら右往左往して落ちていきます。
時にはその場に止まってしまうものもあります。
ふぅ〜って風を送ってやるとまた、落ち始めるのですが、ついついガンバレ〜と応援してしまいますね。
人も、力のある人は目的に向って一直線に進んでいきますが、力のない人はいろいろな障害物にぶち当たってなかなか目的まで到達できないものです。
時には他の人と協力したり力を借りたりして、なんとか進めたりするわけです。
この作品をみてそんなことまで考えてしまいました。
他にも超撥水の皿に自分で水滴を垂らして、水滴を動かして遊べる作品もあって至れりつくせりです。


通路にある作品で、足元にスピーカーが並んでいて、自分の歩く足音が水の音に変るというものがありました。
ちゃぽん、ちゃぽんと歩いているよう。
ちょうど賢太郎さんのmaruの中にこんなパントマイムがありましたが、あれが苦労することなく出来ますよ。

食品サンプルが並んでいて、発券機のボタンを押すと「牛丼 2000L」「ハンバーガー 1000L」なんて食券がでてくる「見えない水の発券機」という作品。
牛丼を作る為に使われるであろう水の量を表示しているのだそうです。
目には見えないけれど、そのモノが出来るまでには多くの水を使っているということなのですねぇ・・
ヒト一人一生分のバーチャルウォーターなんて途方もない量になるんだろうなぁ・・・

会場に入ってすぐに、さかさまにぶら下がった傘が目に入ります。
「さかさがさ」は雨を避けるための道具をさかさまに使うことにより雨を集める道具になるという発想の転換を表現しています。
このWater展のシンボルマークです。
ここではこの傘を持った写真を投稿することができます。
わたしも投稿してみましたが、公の場に自分の写真があるのはちょっとはずかしくもあり楽しいものです。

また、昨日7日(土)は青山ブックセンター本店で藤井保さんと佐藤卓さんのトークショーに行ってきました。
藤井さんはWater展の中で「たちあがる水」という写真作品や「WATER FALL」という映像作品を出しておられますが、今回は佐藤さんと西アフリカのモーリタニアという国を訪れた時の写真とお話が中心でした。
水がテーマでありながら、あえて水の無いサハラ砂漠の最西端に行くのですが、水の少ない国であるからこそ水を意識させるのかもしれません。
藤井さんの写真の撮り方として、モノの中にある物語を読み解くのだそうです。
モノの外側だけを見るのではなく、モノを見て想像力を働かせて、その外側にあるものを撮るというのだそうです。
写真を撮る時に、そんな事まで考えて撮っていなかったので、ナルホドなぁ〜と感じました。
自分が感じた何かを写真の中に表現する方法っていうのもなんとなく難しそうですが。。。

「たちあがる水」の秘話も聞かせてもらいました。
この作品は2枚組の写真で一枚は水の入ったグラス、
もう一枚はそのグラスから水滴が飛び出しているという作品です。
水滴は上から垂らしたものであれば、グラスの中に水滴が落ちているところが写るはずですが、それが無いのでやはり、グラスから上に伸びているようです。
さて、この写真はどうやって撮ったか?
デジタル技術が発達した今では後から合成すればどんな写真も簡単に作れるわけなのですが、この写真は一発撮り後処理無しなのだそうです。
で、驚いた事に、水の入ったグラスを上から落とすと着地の時に水が飛び出すその瞬間を27000分の1秒の高速ストロボを使って撮っているのだそうです。
これも発想の転換ですね。
思いもよらなかったです。

朴訥な感じの藤井さんに対して佐藤さんは大変お話がおもしろくて、藤井さんから聞きだすのもお上手で楽しいトークでした。



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